長野県諏訪湖で見られる冬の自然現象「御神渡り」をご存じですか?
諏訪湖に行ったことがなくても冬の風物詩としてニュースにも取り上げられる御神渡りの名を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
今回はそんな諏訪湖の御神渡りについて詳しくご紹介します。
御神渡りはただ寒くなって氷が盛り上がる現象ではありません。
神事や歴史的価値もあるとても珍しい現象です。
ぜひ詳細をチェックしてみてくださいね。
諏訪湖の御神渡りとは?
では、諏訪湖で見られる冬の風物詩、御神渡りについてご紹介します。
御神渡りは「おみわたり」と読みます。
諏訪湖で冬に起こる自然現象で全面が凍った諏訪湖で氷がぶつかり合い、山脈のように盛り上がる現象を指します。
冬に1日の気温差が大きくなることで湖の氷が膨張と伸縮を繰り返します。
そしてあるタイミングで轟音が鳴り響き、30cmから60cm程度に氷が盛り上がる御神渡りが姿を現します。
なお、この最初に盛り上がった氷の山脈を「一の御渡り」と呼びます。
その後同じ方向に向けて「ニの御渡り」ができます。
さらに一の御渡りと二の御渡りと直角に交わる「佐久(佐久新海)の御渡り」が出来上がります。
そして、この御神渡りはただの冬の自然現象ではなく、諏訪神社上社の男神である「建御名方命」が下社の女神「八坂刀売命」の元まで通った道という言い伝えがあります。
そのため、3つの御渡りが姿を現すと諏訪市にある八劔神社の宮司や氏子総代など約60名が御神渡りの存在を拝観し、御神渡りが行われたと認定されます。
なお、宮司たちが拝観した御神渡りの結果をもとに社会情勢や農作物の吉凶、さらに気候状況を占い、その結果は気象庁や宮内庁に報告されています。
また、御神渡りは北海道の屈斜路湖でも見られる現象です。
しかし、本州では諏訪湖のみで見られる現象であり、神事として観測されているのも諏訪湖の御神渡りの大きな特徴になります。
諏訪湖の御神渡りの歴史
諏訪湖の自然現象であり八劔神社の特殊神事でもある御神渡りは、室町時代である西暦1443年から観測が続けられています。
約580年観測が続けられる気象現象は世界的にもとても珍しいものになります。
初めは神事としての役割が強かった御神渡りですが、現在でも気象状況を記録する重要な現象となっています。
なお、明治初年から約30年間、一時御神渡りの記録が抜けています。
諏訪湖の御神渡りはいつからいつまで観測できる?
では次にこの御神渡りをどの期間観測されるかをみていきます。
八剱神社が御神渡りの出現時期として決めているのが寒の入りと言われる1月の「小寒」の日から節分である2月までの約1か月間になります。
八剱神社の宮司たちは午前6時に定点観測を行っている舟渡川河口で御神渡りが出現しているかを確認します。
この時間帯に宮司たちと同じ場所で一般人が観測するのは難しいですが、諏訪湖は広いため別の場所からの観測は可能です。
諏訪湖の周辺には御神渡りを観測するスポットとして人気の場所がいくつかあります。
諏訪湖の近くにある「赤砂崎公園」や「ハーモ美術館」「SUWAガラスの里」や「諏訪湖間欠泉センター」などで御神渡りを見学するのがオススメです。
御神渡りが見られる気温は何度?
では次に御神渡りが見られる気温をご紹介します。
御神渡りが出現するためには-10度以下の日が少なくとも3日以上続く必要があります。
それだけ寒い日が続くと諏訪湖全体が凍ります。
なお、御神渡りが順調に出現するためにはこの寒い日が続き、氷の厚さが10cm以上になる必要があります。
諏訪湖の御神渡りは減ってきている?
このとても珍しく貴重な諏訪湖の御神渡りですが、2018年1月の観測を最後に確認されていません。
温暖化の影響か、諏訪湖がマイナス温度になることも少なく諏訪湖全体が凍る「全面結氷」にならない年もあります。
こういった御神渡りが出ない状態を「明けの海」と呼び、八剱神社によって明けの海宣言が行われると御神渡りが出ない年ということになります。
御神渡りがこれからどうなっていくかはわかりませんが、今後も計測は続けられ、御神渡りが出現したらニュースなどで発表されるはずです。
せっかくの美しい冬の自然現象や神事が見られなくなるのは残念なので、またいつか美しい御神渡りが出現してほしいですね。
まとめ
諏訪湖の御神渡りについてご紹介しましたが、いかがでしたか?
とても歴史が深く、本州では諏訪湖でしか見られないという貴重さも魅力的ですよね。
御神渡りを見ることができるということは極寒の日が続いているということになります。
今後御神渡りが出現し、その美しい様子を見学しに行く場合は、しっかりと防寒着を着て体調を崩さないように気を付けて見に行ってください。
また、車で見に行く方は冬用タイヤの準備なども忘れずにチェックしてくださいね。
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